弁護士(大阪) 松丸 正
1 新型コロナの感染経路を明らかにすることの困難さ
新型コロナの感染で健康を損ね、休業や、不幸にも亡くなったとき、それが業務上と認められ労災補償の対象になるかどうかについて考えてみましょう。
業務上と認められるためには、被災者が業務により発症したことの因果関係を明らかにすることが求められます。
しかし、目にみえず、どこにでも存在する可能性のあるコロナウイルスに業務中感染したのか、私生活の中で感染したのかを、被災者がその感染経路を明らかにするのは困難であることは言うまでもありません。
2 認定を緩和した厚労省の通達
労災認定にあたる厚労省もこの点を考慮したうえ、次のような通達で定めた基準で判断するとしています(令和2年4月28日基補発0428第1 号・https://www.mhlw.go.jp/content/000626126.pdf)。地方公務員の公務災害認定にあたる地方公務員災害補償基金も同様の通達を発出しています(令和2年5月1日地基補第145号・https://www.chikousai.go.jp/corporate/pdf/info/r2/info020501・・・
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