第10章 独占禁止法・景品表示法

弁護士(大阪) 川村哲二

第1 はじめに

 本稿は、概ね平成 31(令和元)年度(以下、
「昨年度」)及び執筆時点までに公表された独禁法・景表法に関連する判決、審決、排除措置命令、措置命令等の内、消費者問題と関連が深いものを中心に概観する。公取委および消費者庁の公表資料等に基づいて記載しているが、詳しくは公取委、消費者庁の正式な処理概要を確認いただきたい。

第2 独占禁止法

1 不当な取引制限(カルテル)

 昨年度、公取委は、ジェネリック医薬品、舗装用改質アスファルト、浄水場排水処理施設運転管理作業、アスファルト合材、飲料用缶、浄水場向け活性炭、医薬品(カルバン錠)に関する件につき、それぞれ排除措置命令と課徴金納付命令を出した。

2 不公正な取引方法

 昨年度、不公正な取引方法に関する排除措置命令は、アップリカとコンビの2社が、いずれも育児用品(ベビーカー、チャイルドシートなど)につき、再販売価格拘束を行ったという2件である。

 この他、警告が優越的地位濫用1件(丸井産業)、拘束条件付取引1件(あきた北農業協同組合と本家比内地鶏の2業者)が出されている。

 なお、2020年5月15日佐賀地裁で、佐賀新聞の新聞販売店に・・・

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