中国消費者法事情(その35)
─中国民法典と消費者保護③─

弁護士(大阪) 白出博之1

第680条【自然人間貸金契約の貸金利率制限】高利による貸金契約を禁止する。貸金の利率は、国家の関係規定に違反してはならない。

2 貸金契約に利息支払に関する約定がない場合、無利息とみなす

3 貸金契約の利息支払いに関する約定が不明確であり、当事者が補充協議を合意できない場合、当地又は当事者の取引方式、取引慣習、市場金利等の要素に従って利息を確定する。自然人間の貸金の場合は、無利息とみなす

 2020年中国民法典は、1999年契約法の規定を基礎として、第12章「貸金契約」(667条〜680条)の内容を補正している2

1 高利貸付禁止規定の立法背景

 この点、1999年契約法204条は、金融機関が貸付けを行う際の金利は、中国人民銀行が定める貸付金利の上限・下限に基づいて確定しなければならないとしたが、自然人間の貸金契約では必ずしも利息を支払う必要はなく、当事者は利息を支払う旨を約定すること、利息を支払わない旨を約定することもできた。同211条では「自然人間の貸金契約において利息支払いについて約定がない、又は約定が不明確な場合、利息は支払わないものとみなす」「自然人間の貸金・・・

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