欠陥住宅紛争の基礎知識(66)

弁護士(東京) 河合敏男

4 構造計算との関係

(1)これらの仕様規定の中には、「但し、構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない」との但書きのある規定がある。例えば施行令43条(柱の小径)などにこのような但書きがある。これは厳密な構造計算を行うことによって、仕様規定にとらわれずに設計の自由度を増す趣旨であるといわれている。したがって、例えば木造3階建て建物の柱につき構造計算により安全性を確かめられるならば、その小径を12㎝とすることも可能となる。逆にこの但書きのない規定は、構造計算による例外を許さないということであって、必ず遵守しなければならいことを意味する。

 一例として、施行令第3章第6節「鉄筋コンクリート造」の中の第79条は鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さについて規定しているが、例えば「布基礎の立上り部分にあっては4センチメートル以上」と規定されており、構造計算による例外は認めていないから、3センチとすることは許されない。

(2)逆に仕様規定は満足しているが、構造計算するとアウトになる場合はどのように解したらよいであろうか。このような場合、当・・・

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