個人情報と法
第2回 憲法と個人情報保護

理化学研究所革新知能統合研究センター客員主管研究員 国立情報学研究所客員教授大阪大学社会技術共創研究センター招へい教授 国立がん研究センター医療AI研究開発分野客員研究員弁護士(東京) 板倉陽一郎

1 日本国憲法と個人情報保護

 憲法と個人情報保護について議論するというと、プライバシーやプライバシーの権利の議論をして、これと比して、国(特に政府)における個人情報の取扱いは十分でありやなしや、という議論になりがちである。特に、住基ネット事件(最判平成20年3月6日民集62巻3号665頁)及びマイナンバー事件(最判令和5年3月9日民集77巻3号627頁)に議論が集中する。疑いもなく、これらは重要な憲法判例であり、マイナンバー制度の構築にあたっては、住基ネット事件を踏まえて、①何人も個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を有すること、②個人情報を一元的に管理することができる機関又は主体が存在しないこと、③管理・利用等が法令等の根拠に基づき、正当な行政目的の範囲内で行われるものであること、④システム上、情報が容易に漏えいする具体的な危険がないこと、⑤目的外利用又は秘密の漏えい等は・・・

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