消費者機構日本の活動から─主な成果と課題─

消費者機構日本専務理事 板谷伸彦

最近の主な成果と課題

 1月のリレー報告会では、当機構の活動のトピックスとして5点ほど報告させていただきました。そのうち、「ワンメッセージ」「エーチーム」については、その後、それぞれ最高裁判所の適切な判断を得て成果を残すことができました。この二つの訴訟については本誌にて別稿が掲載されていますので、そちらをご覧いただければと思います。ここではその他の3点を簡単にご紹介します。

1 山梨県への差止請求訴訟:地方自治体に対しての初めての差止請求訴訟です。自治体の奨学金とセットにした「地域枠」が多くの医学部入試で設けられていますが、返済免除のメリットの一方で、何らかの事情で離脱した場合には借りたお金に10%の利息を付けて一括で返済しなければなりません。さらに山梨県の場合はこれに842万円もの違約金を加えるものでかなり過酷な制度です。僻地医療対策を個人への高額な違約金によって進める誤った政策であるとして提訴したものです。

2 勧誘事案への取組み:不当勧誘や優良誤認は立証に手間とコストがかかるため、適格消費者団体の現状では着手し難い事案です。霊感商法問題を機に消費者庁に設けられ・・・

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