議員の生活困窮者のための行政への動向支援
─議会多数派の濫用的懲罰に対抗する─

弁護士(奈良) 古川雅朗

1 事案の経過

(1)2021年の香芝市議会議員選挙(定数16名)で初当選した青木恒子議員は、同年12月の福祉教育委員会で、質問の際、生活困窮者支援のために国民健康保険の窓口に市民とともに赴いた経験に触れて「私も困った市民の方と一緒に窓口にもいかせていただきました」と述べた。これに対し、市議会議長が、「政治倫理条例の観点から問題がありまして……国民健康保険料とか、生活保護とか、……議員がそういった窓口に同行していくことは禁止するということで香芝市議会で決められました」等と、青木議員を牽制するような発言をした。しかしすかさず青木議員は言い返した。「政治倫理条例の何条に入ってるんでしょうか、議長。……ここで一律に、(引用者注;議員が窓口に)来たらちゃんと報告しろよというのは、やっぱりそれは議員に対する圧力だというふうに私は今感じました。……ある意味ちょっとパワハラのように聞こえたから言ってるだけです」。この青木議員の発言が、議会多数派から、「議長に対する侮辱又は名誉毀損である」等として懲罰動議の対象とされたのである。

(2)2022年2月、香芝市議会は青木議員に対し地方・・・

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