第12章 電子商取引

理化学研究所革新知能統合研究センター客員主管研究員 国立情報学研究所客員教授大阪大学社会技術共創研究センター招へい教授 国立がん研究センター医療AI研究開発分野客員研究員弁護士(東京) 板倉陽一郎

1 2023年の電子商取引関係消費者法動向

 本稿の射程範囲は、2023年における、電子商取引に関連する消費者法の動向である。中でも、読者の関心が高いと思われる、①ステルスマーケティングに関する景品表示法の告示、②チャット勧誘等に関する議論の進展、③いわゆる破産者マップとも関連する、破産手続のデジタル化、官報の電子化について、それぞれみていくこととする。

2 ステルスマーケティング規制1

 いわゆるステルスマーケティングとは、後述する消費者庁「ステルスマーケティングに関する検討会」によると、「広告主が自らの広告であることを隠したまま広告を出稿(インフルエンサー等へすることの宣伝の依頼も含む)すること」である2。ステルスマーケティングは、それだけでは優良誤認(景表5条1号)、有利誤認(同条2号)に該当しない。インフルエンサー等が勧めているからといって、直ちに品質等について優良であるという表示であるわけでも・・・

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