第8章 欠陥商品

弁護士(大阪) 菅 聡一郎

 本年度はまず、上げ下げロール網戸(本件製品)のループを形成する操作コード(本件コード)が当時6歳の女児Aの首に絡まって同女が縊死したという事故(本件事故)について、製造物責任の有無等が争われた大阪高判令和6年3月14日〔2〕を紹介する。

1 事案の概要

 本件製品は、被告Y2が製造(令和元年9月に販売・引渡し)し、被告Y1が原告X1との間のリフォーム工事請負契約等に基づきXら宅に設置されたものであったところ、本件本訴では、Aの父母X1X2及び兄X3が、本件製品の製造業者であるY2に対しては、製造物責任法3条1項に基づき、工事請負業者Y1に対しては、民法715条1項又は民法709条に基づき、Aの逸失利益及び死亡慰謝料、Xらの固有の慰謝料、葬儀関係費用並びに弁護士費用として、合計8037万円余の損害賠償請求を行った。原判決(大阪地判令和4年11月17日判時2569号59頁)は、本件製品の欠陥の存在を否定し、この点のXらの請求を棄却した。控訴審である本判決は、本件製品の欠陥及びY1従業員の注意義務違反をいずれも肯定し、原判決を変更してYらに不真正連帯債務として合計5837・・・

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