第4章 消費者契約法・消費者裁判手続特例法

弁護士(京都) 増田朋記

第1 はじめに

 本稿では、消費者契約法・消費者裁判手続特例法関係の裁判例として、以下の裁判例を取り上げる。

・神戸地方裁判所尼崎支部令和4年7月27日判決

・最高裁判所第一小法廷令和4年12月12日判決

第2 神戸地方裁判所尼崎支部令和4年7月27日判決〔1〕

1 事案の概要

 兵庫県西宮市に在住する原告は、令和2年1月20日、北海道のニセコ地区にあるホテル(以下、「本件ホテル」という)に同年3月8日から3泊4日で宿泊する契約を締結し、同年1月21日に宿泊代金全額23万4000円を支払った。

 その後、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大し、同年2月28日には北海道知事が緊急事態宣言を出すに至った。このような状況の中で、北海道への旅行に不安を抱いた原告は、本件ホテルを運営する被告にキャンセル料を問い合わせたが、キャンセル料は宿泊代金全額と回答され、その後、宿泊予定の1年後である令和3年3月8日への予約日程の変更を提案された。

 原告は、一旦はこれに応じたが、令和2年3月19日、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を理由に、本件宿泊契約を解除する旨の意思表示を行った。

 被告の利用規約には、・・・

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