美浜原発3号機運転差止め・大阪高裁認めず

弁護士(滋賀) 井戸謙一

1 はじめに

 福井県等の住民7名が関西電力に対し、美浜原発3号機の運転差止めを求めた仮処分申立事件の即時抗告審で、2024年3月15日、大阪高裁は、これを却下した大阪地裁の判断を是認し、抗告を棄却する旨の決定をした。

 美浜3号機は、法定の寿命を超え、運転開始から47年以上が経過している老朽原発である。原発の運転を是認している人の中でも、老朽原発の運転だけは止めてほしいという人は多い。47年前に製造された自動車に乗りたいと思う人は少ない。原発のような巨大で(1機の原発のすべての配管を一列に並べたら数百キロメートル、すべてのケーブルを一列に並べたら1000キロメートルを超えるといわれている)、しかも被ばくの問題があるのですべての箇所の点検ができないプラントでは、いつ、どこで、予想もしなかったトラブルが起こらないとも限らない。

 多くの人々の切なる思いに応えるべく提起した仮処分申立てであった。しかも、2024年1月1日、能登半島地震が起こり、北陸電力志賀原発が軽視できないトラブルに襲われ、市民の間で原発に対する不安が高まったことが、裁判官の判断に影響を与えることを、私たちは、・・・

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