紅麹問題を健康食品問題解決の契機にすべき

東京大学名誉教授 唐木英明

1 問題の経緯

 2016年5月、小林製薬がグンゼから紅麹原材料の製造販売事業を譲受け。2020年6月、機能性表示食品「紅麹コレステヘルプ」届出。2024年1月15日、医師より腎疾患症例の連絡。2月1日、同様の症例3例の連絡、社内で検討開始。3月16日、製品への不明物質の混入を確認。21日、消費者庁に報告。22日、記者会見で自主回収発表。29日、不明物質は青カビが産生するプベルル酸である可能性を公表。4月19日、厚労省はプベルル酸以外に2種類以上の不明物質が含まれることを発表。5月29日時点の医療機関受診者1614人、入院者284人、死者5名、相談件数延べ13万件。

2 原因に関わる事実

① 健康被害を引き起こしたのは健康食品用で、食品・着色用の被害はない。健康食品用と食品用は原材料も製造法も異なるが、複数の紅麹培養器を空いた順に清掃して使用し健康食品用と食品用の分離はない。②2020年の製造開始以来問題はなかったが、昨年4~10月製造の健康食品用だけに有毒な異物が混入。目視では紅麹に異変がなく異物混入に作業員は気付かなかった。③培養器に水が入る事故と、床に落ちた原材・・・

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