弁護士・元東京経済大学教授 桜井健夫
人は、家族単位で生活し、更に集まって集落、社会を形成してきた。社会では、大勢が協力して狩りをしたり家や橋を造ったりできるし、分業して得意なことに専念することもできる。一人で生きるより社会を作った方がプラスになるので、人は社会を作ったわけだ。つまり、社会は人が生きやすいようにする仕組みであり、人(自然人)のためにあるといえる。
自然人は、社会の構成単位として法人を作った。法人は、権利義務の主体となることができるように法で作った道具である。自治体、会社、学校等のほか、将来は、ペットやAIも法人となる可能性はある。法人は、自然人が法で作った道具であるから自然人のためにあるといえる。
金融法や金融機関等からなる金融制度も、社会の一部であるから自然人が生きやすいようにする仕組みであり、自然人のためにあるといえる。金融法は自然人が作ったルールであり、金融機関は自然人が法で作った道具である。消費者とは個人をいい(消契法2条1項)、個人=自然人であるので、金融制度は消費者のためにあるといいかえてもよい。では金融制度は消費者のための制度となっているか。
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