「それで、消費者センターは何をしているのですか?」
─理解者を増やして被害防止につなげる─

全国消費生活相談員協会北海道支部 消費生活相談員 岩野知子

 タイトルどおりの質問を受ける時がある。期待値の高すぎる相談者から時折投げかけられる、「何もしてくれないの?! 消費者は泣き寝入りですか!」という意味ではなく、「こんな相談してもいいのでしょうか……」と恐る恐るたずねる相談者の第一声でもない。トラブルにあったことがないか、トラブルにあったとしても自力で解決できそうな、相談窓口とは縁がないと思われる人々からの質問だ。“消費者センター”という名称は知っていても、実際に何をしているのか、よく知られていないのだなと実感する(行政では消費生活相談窓口や消費生活センターと表記するが、ここでは一般的によく使われる“消費者センター”を用いる)。

 社会人と学生が一緒に学ぶ大学の講座を受講した時にも、社会課題解決に取り組む若手研究者のワークショップに参加した時もそうだった。自己紹介や課題発表で、「私は消費者センターに勤務する消費生活相談員です。日々、消費者トラブルの相談を受けています。最近の相談で多いのは、ダークパターンが駆使された定期購入、スマホやSNSが関係するトラブル、若者をターゲットにした副業や・・・

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