中国消費者法事情(その32)
─先物・金融デリバティブ法の成立施行─

弁護士(大阪) 白出博之1

はじめに

 2022年4月20日「中華人民共和国先物・金融デリバティブ法」[期货和衍生品法](以下「新法」という)が成立し、同年8月1日から施行されている。従前、先物取引の関連規定は、国務院制定の「先物取引管理条例」に置かれていたが2、新法は先物取引および金融デリバティブ取引にフォーカスした初めての単行法であり、全13章、合計155条からなる。

 先物市場は価格発見、リスク管理等の機能を通じて、生産、流通、消費、分配・循環の促進、実体経済の発展への貢献において積極的作用を営んでいる。数年来、中国の先物市場は健全かつ安定的な発展を続け、商品先物取引の総量が11年連続で世界一になり、株価指数先物、国債先物、ストックオプションなどの金融先物およびデリバティブも盛んに発展を遂げている。現在、中国の先物市場は計70の先物商品と22のオプション商品が上場し、主な産業類型と主な経済活動段階を概ね網羅している。そして先物取引に関する専門の法律を制定、公布し、先物取引を規律、促進し、先物市場の機能をより十分に発揮させることは、商品流通の活性化、産業の高度化の推進、経済の質の高い発展の促・・・

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