個人情報と法
第1回 総論

理化学研究所革新知能統合研究センター客員主管研究員国立情報学研究所客員教授 大阪大学社会技術共創研究センター招へい教授 弁護士(東京) 板倉陽一郎

1 はじめに

 2023年現在、個人情報を巡る話題が新聞を賑わさない日はなく、「個人情報と法」についての議論の重要性は論を俟たない。この度、本誌において、「個人情報と法」についての連載の機会を得た。偶然にというべきか、筆者は、2023年の春学期より、明治学院大学で「個人情報と法」についての講義を持つこととなっている。これは、全国でも珍しいと思われる、15コマすべてで「個人情報と法」を講じ、2単位を与えるものであり、本連載についても、15回を予定し、同講義と連動した内容としたい。といっても、同大学の講義は半期であり、本連載は月刊となるため、第1回こそ、講義開始前であるが、第3回以降は講義のスピードが追い抜くため、同講義のダイジェストといった内容が想定されることになる。

 第1回は総論として、個人情報と法を巡る、①制定法、②憲法、③判例・執行実務を概観し、その特徴を示そう。

2 制定法

 「個人情報と法」の中心的な対象としては、いうまでもなく個人情報の保護に関・・・

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