日本の社会保障はどこに向かうべきか?
─コロナ対応から普遍的な生活支援へ─

社会福祉法人大津市社会福祉協議会事務局次長 山口浩次

コロナ禍の社会福祉協議会のこと

 社会福祉協議会(略して「社協」)は、戦後、全国の市区町村、都道府県に一か所ずつ設置された社会福祉法人です。社協は、住民主体の理念のもと、地域福祉活動を行い、住民の支え合い活動や、介護保険事業、総合相談事業等を行っています。

 2020年3月末に始まった国のコロナ感染症対策としての「特例貸付け」は、コロナで収入が減少し生活に困窮する方を対象に、無利子・保証人なしで「緊急小口資金」(最大20万円)と「総合支援資金」(最大20万円×3か月)の二種類が借りられるという制度です。この制度の実施主体は都道府県の社協で、窓口は住所地の市区町村の社協です。

 大津市社協では、受付を始めた二日目に2週間先の予約が埋まるほど多くの相談者が殺到しました。私たち管理職は、「この状況は通常の体制では対応できない、特別な体制や対応が必要だ」と話し合いました。まず、職場のBCP(業務継続計画)の見直しを行い、どうしても必要な業務以外は、すべて特例貸付けの事務を応援するようにし、4月初旬から30名体制で窓口業務を担いました。その後、職員(派遣・・・・

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