民法と利息制限法超過部分の充当

弁護士(神奈川) 茆原洋子

 最高裁では、未だに「充当合意」の用語を使い、「充当合意がなければ弁済後に発生する債務および他の系列の債務に充当しない」といった扱いが残念ながら続いている。是非とも、この状態を覆し、当然充当の復活する日を迎えたい。

 そのためには、民法と利息制限法の原点を繰り返し確認していく必要がある。

1 「貸主の貸付の仕組み」に関係しない充当

 「経済的弱者の地位にある借主は強者である貸主が定めたとおりの形で貸付けを受けるほかない。それ故、貸主が定めた形式や仕組み(契約の複数化や、前後別の契約として扱う仕組み、あるいは手形貸付ごとに別とする仕組み)の違いで、強行法規である利息制限法の適用結果に差異が生じるようなことはあってはならない本誌133号47頁にも概要を紹介したが、あえて繰り返すこととする。なぜなら、この言葉を、読者の皆が、訴訟を担当する場合には、訴訟中に何度も、裁判官の頭に滲み込むまで、繰り返していただきたいからである。

2 「過払金」とは「弁済そのもの」の集合体である

 「過払金」というとそれ自体が分かったように扱われる結果、「過払金」の用語が、ことの本質を覆い隠す面がある。・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。