事業者ファクタリングを巡る裁判の現状

弁護士(東京) 三上 理

1 事業者ファクタリングとは

 ファクタリングは、売掛債権等の債権を有する者が、割引料や手数料等に相当する金額を控除して弁済期前の債権を売却(債権譲渡)し、金銭の交付を受けるものである。

 そのうち「三者間ファクタリング」は、債権譲渡人(中小事業者)と債権譲受人(ファクタリング業者)に加えて、譲渡の対象となる売掛金の債務者も了解したうえで、ファクタリング契約を締結する場合である。

 これに対し、「二者間ファクタリング」は、売掛金の債務者には債権譲渡の事実を知らせず、債権譲渡人(中小事業者)と債権譲受人(ファクタリング業者)だけで取引する。売掛金の債務者は、債権譲渡の事実を知らないまま、従前どおり、債権譲渡人に売掛金を支払うが、それは、実は債権譲受人から債権回収の委託を受けた債権譲渡人が回収を代行した形になっている。

 このようなファクタリング契約は、経済的機能としては金融取引の側面があることから、実質的には金銭の「貸付け」に当たるというべきではないか、貸金業法および出資法の金利規制等の適用を認めるべきではないか、が問題となる。

2 裁判例の傾向

 貸金業法は「金銭の貸付け又は金銭の媒・・・

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