消費生活相談業務から考えるデジタル化への消費者教育について

公益社団法人全国消費生活相談員協会関東支部支部長 吉村俊恵

はじめに

 2021年のデジタル庁の発足を機に、「誰一人取り残されない」とのスローガンのもと国を挙げてデジタル化の推進に向けた取組みが急速に進んでいる。同時に、デジタル化の推進は新型コロナウイルス対策と相まって、インターネット通販やSNSの利用を加速させ、消費生活相談の現場においても大きな変化をもたらしている。そのような状況下、消費生活相談や消費者教育について日々思うことについて述べたい。

相談現場で

 窓口にノート型パソコンを持参し、「質問サイトを1回だけ利用したつもりが、毎月5000円近い引落としが続く。連絡先がわからないので一緒に見てほしい」「インターネット通販で購入した化粧水の定期購入の解約手続きをして」といった高齢者からの相談が寄せられている。

 「アカウントから、契約情報の確認はできますか」「アカウント?」「……」。パソコン検索や自分のスマホを片手に相談者と四苦八苦して解決できたときには双方ともげっそりといったようなことも多々ある。

 また、コロナ禍で、デジタル機器に触れる機会が増えた小中高校生のオンラインゲームによる課金の相談が親権・・・

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