景品表示法検討会報告書の概要と今後の法改正等について

弁護士(東京) 宮城 朗

1 はじめに

(1)消費者庁は、令和4年3月に「景品表示法検討会」を設置し、その検討結果を令和5年1月に報告書(以下「本報告書」という)にまとめて公表した。その目的は、現行景表法の附則の規定する施行後5年後の見直しとの位置付けである。

(2)同法施行後の運用状況から認められた問題点は、(ⅰ)課徴金制度導入後も不当表示の摘発件数に減少傾向が認められないこと、(ⅱ)一部事業者にくり返し違反や悪質な違反等の確信犯的傾向が認められること、(ⅲ)課徴金制度と同時に導入された自主返金制度の実施件数が極めて少なく機能不全が認められること等であり、かかる実態を踏まえて議論が行われた。

(3)本報告書の提言は多岐に亘るが、主な項目をグループ分けすると、①「確約手続」の導入とこれに関連する「自主返金」の促進、②不当表示に対する直接的な抑止力強化(課徴金の割増算定率・対象売上高推計・刑事罰導入等)、③適格消費者団体の権限強化(行政からの情報提供・優良誤認表示の立証負担軽減)という3種類に整理される。

2 確約手続の導入と自主返金の促進

(1)確約手続とは、独禁法違反の疑いのある行為を行っている・・・

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