依存症の債務整理問題について考える
─ギャンブル等依存症回復への道すじ─

大阪いちょうの会 司法書士(大阪) 井手洋右

1 はじめに

 令和2年に行われた「ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査」に基づく報告書(厚生労働省)によると、依存が疑われる人が2.2%ほどいるということがわかった(調査対象者は全国の18歳~75歳までの8223人。令和2年10月~12月に実施)。単純に計算することはできないが、この割合を用いると、依存症が疑われる人は日本におよそ300万人存在することになる。

 最近では、ゲーム依存症やスマホ依存症といった新しい依存症も注目され、「依存症」の認知度が高まっている。そういったこともあってか、当会への依存症の借金問題に関する相談件数は増えている。

 しかし、弁護士や司法書士(以下、単に「専門家」という)が依存症の問題を抱える債務整理を通常の債務整理と同様に取り組むと、依存症者本人へのイネイブリング(依存症の人の世話を焼いたり、尻拭いをしたりすることによって、依存を続けやすくしてしまう行動)となるので注意が必要である。ここでは、大阪いちょうの会で実践している「依存症からの回復」を念頭に置いた借金問題の解決方法について紹介したい。

2 依存症問題が絡

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